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お線香の刺激

何年も前ですが、ある雑誌に「煙の出ない線香は刺激が強い」との僧侶からの意見が取り上げられていました。
私も同じ意見です。
さらに、安い化学香料主体の線香も、同じように刺激を感じます。
その雑誌で有名お線香メーカーの取材に、あらゆる臭いの元は、化学成分が分かっており、自然香と同じ香りを出せる。
自然香と同じなのだから刺激は無いと書かれていました。
ある檀家さんは、
①臭いから嫌いだ。
②刺激が多すぎる。
③娘が喘息になる。
檀家さんに聞いてみると、同じような環境の部屋、安い、あるいは化学香料主体のお線香を使用していました。
どのような環境かと言えば、アルミサッシとドアーなどで閉め切った狭い部屋で、においがこもる部屋です。
一人の方は、お墓参り用の煙の多い、安いお線香を使用していました。
お墓参りで使用すると良い香りかもしれませんが、自宅では刺激が多すぎます。
そのような方に、当寺でおわけしているお線香を差し上げると、刺激が無く、お線香がこんなに香りよく、気持ちの良いことに初めて気がついたと話されていました。
(ご法事の時、気がつかなかったのかと思いましたが。)
自然香主体のお線香を使用すると、読経中にお線香の煙が、顔の周りに漂っても、あまり気になりません。
人それぞれかもしれませんが、違いは歴然です。
このお線香は、ある札所のお寺では、○○○○円で売っていました。
えっと驚く値段ですが、他の札所寺院に比べれば、この香なら納得の値段かもしれません。
どなたかしれませんが、檀家さんが、
「高いお線香だから、大事に使ってくださいね。」
と話したことを信じられず、問屋さん(箱の中の使用説明書に、電話番号が印刷されている。)に問い合わせたことがありました。
問屋さんから
「何々寺(某有名寺院)では□□□□円で売っています。」
と伝えたところ、黙ってしまったと連絡がありました。
分からない人には、分からないのだと思っていましたが、私も年齢と共に微妙な香が分からなくなってきました。
しかし、特に若い方々からは、昔私が感じた意見を言われます。
御本堂でお線香を使用してない時でも、残り香があるのが分かるようです。
残念ながら私の鼻は、微妙な香を感知出来なくなりました。
自然香主体のお線香は高価です。
ですから、真言宗では基本は3本立てますが、
「1本だけ、場合によっては、半分だけでも良いです。」
と話しています。
刺激と感ずる人で、高価なお線香は無理と言われる方は、1本だけ、あるいは半分、三分の一にして横置きでも良いでしょう。
気持ちが大事です。

真言宗 お線香・お焼香の手向け方-作法